
産業用一般ガス充塡
シリンダー一般ガス | O2、 N2、 Ar、 CO2 |
【弊社事業の中心について】
弊社の事業の根幹は、一般工業用ガスをシリンダー(ボンベ・容器)に充塡する作業です。 現在、充塡容量7m³(内容積47ℓ)のシリンダーに、1日あたり約900本の工業用ガスを充塡しています。 昔は1本ずつ丁寧に手作業で充塡していましたが、現在では自動化されたシステムを導入し、数十本をまとめて効率的に充塡できるようになりました。 もちろん、心を込めて作業する姿勢は今も変わっていません。
【自動充塡システムの仕組み】
酸素・窒素・アルゴンの充塡には「パレット型自動充塡方式」を採用しています。 この方式では、7m³シリンダーを16本載せられる専用パレットにシリンダーを並べ、プラッター(電動フォークリフト)で充塡架台(充塡場)まで運びます。 そして、各充塡口にワンタッチ充塡金具を接続し、タッチパネルのスイッチを押すだけで自動充塡が開始されます。
・ 酸素・アルゴン: 3パレット(計48本)を同時に充塡可能
・ 窒素: 2パレット(計32本)を同時に充塡可能
この自動充塡設備は、酸素用が3系統、アルゴン・窒素用がそれぞれ2系統あり、川口を中心とした都市圏の工場が必要とする数百本規模の高圧ガス需要にも対応できる体制を整えています。 (自慢の設備です!)
このような大規模自動充塡設備のある充塡工場は稀で、国内ではわずか3か所のみと聞いております。
【炭酸ガスの特徴と充塡方法】
炭酸ガスのシリンダーは緑色と決められています。 居酒屋などでビールサーバーの横にある緑色の容器を見かけたら、それが炭酸ガスのシリンダーです。
炭酸ガスは、最近ではスーパー銭湯の炭酸泉などにも使用されており、気体・液体・固体と状態が変化しやすいユニークな性質を持っています。 ドライアイス(固体炭酸)もその一例です。
炭酸ガスをシリンダーに充塡していくと、内側の下部に液体が溜まり、上部は高圧の気体になります。 窒素などの常温で液化しないガスは圧力で充塡量を管理しますが、炭酸ガスの場合は重量で管理します。 LGC(液化ガス容器)と同様に、ロードセル(重量計)にシリンダーを載せて充塡重量を設定すると、自動で充塡が行われます。
食品添加ガス (食添ガス) |
【食品添加ガス(食添ガス)とは】
食品添加ガスとは、その名の通り食品や飲料に直接加えたり、包装容器の中に充塡して使われるガスのことです。 品質を保つために、使用するガスは厳しい基準を満たしたものを選び、充塡後には以下のような検査が行われます。
・ 純度の確認: 不純物が混ざっていないかを分析
・ 臭気チェック: 異臭がないかを人の鼻で確認 (人間の嗅覚は非常に高感度なので)
【包装内に使われる不活性ガスの役割】
一般的な飲食品の包装内に使用される不活性ガスは、その目的によって単独、若しくは混合して使われています。 また、混合ガスは、配合比率によっても効果が変わるため、規定の比率に合わせて充塡量を調整することが重要となります。
使用ガス | 主な目的 |
窒素(N₂) | 風味・鮮度の維持、酸化・変色の防止 |
炭酸ガス(CO₂) | 酸化防止、カビ・微生物・害虫の抑制 |
混合ガス(N₂+CO₂) | 上記両方の効果を狙う場合 |
酸素(O₂) | 生鮮品をより美味しくみせるため |
【主な取り扱いガス】
弊社で現在充塡している主な食添ガスは、以下の通りです。
・ 食添用炭酸ガス(CO₂)
・ 食添用アルゴン(Ar)
・ 食添用混合ガス(N₂+CO₂、O₂+CO₂)
<炭酸ガス(CO₂)>
炭酸ガスは、ビールや炭酸飲料などに使われる最も身近な食添ガスです。
<アルゴンガス(Ar)>
アルゴンガスは、海外ではジュースやワインの酸化防止に広く使われてきましたが、日本では最近まで使用が認められず、代わりに窒素ガスが使用されていました。 近年、ようやく日本でも、主に輸入ワイン向けにアルゴンの使用が増えだしています。
アルゴンガスは、窒素よりも酸化防止効果が高く、ワインの品質を長く保つことができます。 但し、希少で高価なため、主に高級ワインに使われているようです。
混合ガスーー> | Ar+CO2、 Ar+H2、 Ar+O2、 N2+CO2、 N2+O2、 N2+H2、 O2+CO2 等 |
混合ガスは、食品添加用に限らず、ガスの種類や混合比率を調整することで、幅広い用途に利用されています。 但し、どんなガスでも混合できるわけではありません。 基本的には「不活性ガス+対象ガス」の組み合わせのみが可能で、混合することで反応してしまうような組み合わせは、安全上の理由から認められていません。
新しい混合ガスの組み合わせを使用されたい場合は、充塡が可能かどうかを弊社までお問い合わせください。
【工業用途でよく使われる混合ガス】
最も一般的な混合ガスのひとつは、「アルゴン(Ar)+二酸化炭素(CO₂)」の組み合わせです。 この用途では、各社で混合比率が少しずつ異なるため、それぞれ専用の名称で商品名を展開し、ブランド化が図られています。
・ 東京高圧山崎: ハイアークC
・ 大陽日酸: サンアーク
・ 小池酸素工業: アルタン
溶接分野では、用途に応じてさまざまな混合ガスが使われています。
<MAG溶接 (Metal Active Gas Welding)>
鉄鋼などの鉄系金属の溶接には、Ar-CO₂混合ガスを使用するMAG溶接が広く採用されています。 このガスを使用することで、一般的にスパッタやヒュームが減少し、ビード外観の改善も期待できます。
< MIG溶接 (Metal Inert Gas Welding)>
ステンレス鋼などの溶接には、Arに数%のO₂を混合した「Ar+O₂」ガスが使用されることがあります。 少量の酸素を加えることで、安定したアーク放電が得やすくなります。
<TIG溶接 (Tungsten Inert Gas Welding)>
通常は100%のArガスを用いますが、Ar+H₂混合ガスを使用することでアーク電圧が上がり、溶け込みが深くなるため、高速溶接が可能になります。 特に、ニッケル基合金、ニッケル銅合金、ステンレス鋼といった特殊材料の溶接で使用されることがあります。
溶接技術は非常に奥が深いため、どの混合ガスが最適かについては、専門サイトや技術者の意見を参考にされることをお勧めします。
【その他の混合ガス】
上記以外にも、さまざまな混合ガスがあります。 たとえば、以下の混合ガスは標準的に充填対応しております。
・ N₂+O₂混合ガス (クリーンガス)
・ N₂+H₂混合ガス (フォーミングガス)
【混合ガスの充塡方法】
混合ガスの製造には、いくつかの方法があります。 その中でも最も一般的なのが「圧力比混合法」です。
この方法は、異なるガスを一定の圧力比で混合し、所定の成分比となる混合ガスを製造するものです。 大量生産に適しており、スピーディーに製造できる利点があります。 但し、自動充塡には適さず、狙った成分比と実際の比率にズレが生じることもある為、充塡員には高い技量が必要となります。
そのほか、以下の方法もあります。
・ 重量法
・ 半重量法
・ 流量混合法
(動画もあります)
カードル(集合容器) | O2、 N2、 Ar |
【カードル(集合容器)とは】
高圧ガスを大量に使用する場合には、複数のシリンダーをまとめて束ねて使える「カードル」と呼ばれる集合容器が便利です。 カードルで使用されるガスの中では、酸素カードルが最も多く使われています。 これはシリンダーの場合と同様ですね。
・ 7m³のシリンダーを、9本・16本・20本・25本などの単位で束ねて、一体化された容器として使用できます。
・ 工場や建設現場など、ガスの使用量が多い場所でとても重宝されています。
・ カードル自体は外枠で保護されていますが、ホイストやフォークリフトで運搬されることが多く、衝撃を受けやすい為、束ねた配管や継手部分からのガス漏れに注意が必要です。
【弊社の充塡システムについて】
・ 弊社では、通常のシリンダーと同様にカードルにも自動充塡システムを採用しています。
・ 容器の温度上昇を測定しながら、所定の圧力まで自動でガスを充塡します。
LGC (液化ガス容器) | L-O2、 L-N2、 L-Ar、 L-CO2 |
【LGC(液化ガス容器)とは】
「LGC」は、Liquid Gas Containerの略で、液化酸素・液化窒素・液化アルゴン・液化炭酸などを液体のまま安全に保管できるよう設計された容器です。
・ 魔法瓶と同じように、真空断熱の二重構造になっており、極低温の液体を保つことができます。
・ 極低温が必要な用途では液体のまま使用し、低圧ガスを大量に使いたい場合は蒸発器を通して気体に変換して使用します。
・ シリンダーよりも長時間・大量にガスを供給できるため、スペースの節約や容器交換の手間を減らすのに効果的です。
【容器の重量と取り扱い】
・ LGCの容器は空でも約100kgあり、液化ガスを充塡すると約300kgにもなります。 大型LGCの場合はガス種によっては800kg以上となり、とても重量があります。
・ 人力での移動は困難なため、フォークリフトやホイストクレーンなどの機材が必要です。
【弊社の充塡システムについて】
・ 充塡作業を効率化するため、弊社では充塡場所にローラーコンベアを設置しています。
・ 充塡員は容器をスムーズに充塡位置へ移動でき、ローラーの下に設置されたロードセル(重量センサー)により、予め設定した重量の液化ガスを自動充塡できます。
・ 手順としては、容器を充塡位置に運び、充塡弁と放出弁にフレキシブル配管を接続し、充塡量を入力してスタートを押すだけです。
・ そのため、充塡員は複数のラインを効率よく担当することが可能です。
魔法瓶 (シーベル容器、 デュワー瓶) | L-N2 |
【シーベル容器とは】
「シーベル容器」は、液体窒素を少量・短時間だけ使用する際に使われる専用容器です。 私たちはよく「魔法瓶」と呼ぶことがありますが、実際に魔法瓶やLGCと同じく、真空断熱の重構造になっています。 この構造により、極低温の液体窒素を安全に保管することができます。
【デュワー瓶について】
「デュワー瓶」は、液化ガスを少量ずつ分けるときなどに使用される容器です。 こちらも真空断熱二重構造で、研究や実験などでよく使われます。
【取り扱い時の注意点】
・ シーベル容器を台車などで運ぶ際は、振動や衝撃に注意してください。
・ 容器の蓋にはネジが付いていないため、注ぎ口から液体窒素が噴き出す危険があります。
・ 容器の蓋に雨や水などが付着し、凍って蓋が固定(液封)しないようにしてください。 (爆発の危険があります)
・ 密閉容器ではないので、液ガスが入った容器は開放空間で保管してください。 (エレベーターには絶対に一緒に乗らないでください!)
【弊社での提供方法】
弊社では、シーベル容器に対しては「液体窒素のみ」を「満タン」で充塡して提供しています!
耐圧検査
シリンダー (ボンベ、容器) |
弊社では、高圧ガスを充塡しているシリンダー(ボンベ・容器)に対して、定期的な耐圧検査を実施しています。
【耐圧検査とは】
・ 高圧ガス容器が安全に使用できるかどうかを確認するための検査です。
・ 高圧ガス容器は、ガスを繰り返し高圧で充塡して使うため、安全の為一定期間ごとに再検査が必要となります。
・ 新規容器の製造後、 5年以内に初回の再検査を受ける必要があり、その後は 3年ごとに再検査を受けることが法律で義務付けられています。
・ この再検査の期限は法律で定められており、容器の首元に打刻された情報で確認できます。
【打刻情報について(以下写真の炭酸ガスシリンダーの例)】
・ 容器番号:BM70262
・ 製造年月:1973年11月
・ 再検査年月:2024年11月
【容器再検査の工程について】
下の工程図は、高圧ガス容器の再検査の流れを示したものです。 最近では、検査工程の自動化が大きく進んでおり、効率的かつ安全に作業が行えるようになっています。
弊社では、全自動非水槽式耐圧試験装置を使って容器の再検査を行っています。 この耐圧検査装置は、水の充塡(漲水)、加圧、脱水、乾燥の作業を全自動で行い、検査の精度と作業効率が大幅に向上しています。
【非水槽式耐圧試験とは?】
・ 検査対象の容器に水を満たし、ブースターポンプでさらに水を加圧して耐圧試験を実施します。
・ 圧力をかけた後、元に戻し、容器が規定の範囲内で膨張しているかを確認します。
・ この方法は水槽を使わずに行うため、作業スペースや効率面でも優れています。
その他
LGC (Liquid Gas Container) |
業務課
【業務課の紹介】
業務課は現在、男性3名・女性2名の計5名で構成されています。 親会社である大陽日酸株式会社から業務委託を受け、主にお客様への高圧ガスの出荷業務を担当しています。 お客様が安全かつ効果的に高圧ガスを使用できるように、日々丁寧な対応を心がけています。 (現在は、事務所棟建替えの為、写真のプレハブ棟で業務をしています。)
<主な業務内容>
・ お客様からの注文(電話・FAX・メールなど)を受け付けます。
・ ご注文内容に応じて、出荷準備・伝票発行・配送手配を行います。
・ 出荷業務をスムーズに進めるために、以下のような業務にも日常的に対応しています:
✓ 在庫容器の管理
✓ 容器の準備
✓ 耐圧検査の手配
✓ 充塡作業の依頼
<お客様対応について>
お客様からの問い合わせや依頼は多岐にわたります。
主な対応内容:
✓ 納期の確認
✓ 単価の問い合わせ
✓ 在庫状況の確認
✓ 代納(代理納品)の可否
✓ 法令に関するご質問への対応
事務課
【事務課の紹介】
事務課は現在、男性3名・女性1名の計4名で構成されており、 弊社の事業運営を支えるバックオフィス業務全般を担当しています。 各メンバーは、毎月の業務予定を立て計画的に実行し、担当業務を定期的に変更しながらスキルアップを行い、日々能力向上に努めています。 (現在は、事務所棟建替えの為、食堂棟を間借りして業務をしています。)
<主な業務内容>
事務課では、人事・経理・総務の3分野にわたる業務を行っています。
・ 人事業務
✓ 社員の人事情報の作成・更新
✓ 給与の計算・管理
✓ 各種人事関連データの整備
・ 経理業務
✓ 現金・預金の管理
✓ 各種伝票の入力
✓ 決算書類の作成など、幅広い経理処理
・ 総務業務
✓ 監督官庁からの調査票への回答
✓ 点検表の回収・管理
✓ 電話対応・来客対応などの窓口業務









































































